元JR駅長さん岩佐哲次さんの本物のそばが食べたい「蕎麦古家」～福島県。朝日新聞。「一身二生」。２０１４年５月３０日（金）。６月６日（金）

「蕎麦古家」


当ブログでは「関東版」ということで、
関東１都５県の飲食店を紹介しているが、
今回は「特別番外編」であるのだ。


ちょっと脚を延ばして、
ぜひとも味わってほしい。




朝日新聞の金曜版には
「一身二生」（いっしんにしょう）というコーナーがある。

今までの生き方をがらりと変えて、
第二の人生を歩んでいる人を紹介する。

つまり、
一人の人生、一生を二人分楽しんで生きようという
素晴らしい先輩たちを紹介しているのだ。


今回は
なんと、
ＪＲ駅長からお蕎麦屋さんに転身してしまったという
岩佐哲次さん（６７）である。







岩佐さんは
ＪＲ東日本の茂原駅（千葉）や小岩駅（東京）で勤務した。

首都圏の通勤や通学の要となるJRの駅長としての任務は
責任が重く、大変な緊張の日々だった。

乗客との間でトラブルがあると、
菓子折りを持って頭を下げに行ったこともある。






息抜きは趣味のイワナ釣り。

５３歳のとき、
その遊びのベースキャンプとして、
裏磐梯で築９０年の廃屋を手に入れた。


休みのたびに、住まいのある千葉から通って、
自ら手を入れた。


駅長からＪＲ関連のビル管理会社の役員になった。

６５歳までは会社にいられたのであるが、
裏磐梯の豊かな自然に魅了され、
「ここで人生をリセットしたい」という思いを
どうにも抑えられなくなったという。


３人の子育ても一段落していた妻の富子さんに
思い切って相談した。


「これまで頑張ってきたから、
好きに生きていいですよ。
でも、月に１回ぐらいは帰ってきて」


岩佐さんは
家族以外の人間関係は、すべて捨てると決めて、
５７歳で会社を辞め、田舎暮らしを始めたのだった。








裏磐梯の自然に没頭する生活。

自分で釣った魚、自分で採った山菜を肴（さかな）にして、
地酒を飲みながら、
聴くジャズや童謡。

あんなに思い描いていた日々なのに
ひを追うごとに人との出会いが恋しくなってきた。



人数は少なくてもいいから、
本音でわかりあえる本物の出会いが欲しいと思った。

「でも、山奥まで人に来ていただくには『武器』がいる」

そこで、
会津で出会った蕎麦を『武器』にすることに決めた。


本やDVDなどで基礎を身につけ、
伝手を辿って、５人の職人に教わり、
特訓を重ねた。


「定年後の道楽」でなくて、
「本物」を目指すと決心して１年半、
岩佐さんが６０歳のときに、
この 「蕎麦古家（そばごや）」を開業したのだった。







１階のそば屋では、
年季の入ったタンスや民芸品が並ぶ板の間で、
囲炉裏を囲んで食事が楽しめる。

作務衣姿の岩佐さんが
地元産の「会津の極上特質粉」を清らかで美味い水で打った蕎麦を
会津塗りの椀に入れて運んでくれる。





噛むほどに、
口の中に広がる蕎麦の風味。


遠方から車で常連客が来る。

しかし、
その日用意した２０食分ほどが出たら、
もうその日の営業はお終いだ。


無理はしない。







いつまで、この蕎麦屋をやるかは
まだ決めていない。


今を精一杯楽しむのみだ。

JRの駅長さんをしていた岩佐さんは、
当時の仕事の経験から、
お客さんを喜ばせるために、
色々なアイデアが湧いてくるのだ。


内装や備品もそう。

また、メニューもそう。

例えば、
岩佐さん自慢のオリジナルスイーツの一つに
「そば羊かん」がある。


「甘いものが食べたい」という女性客の声で、
研究と改良を重ねたものだ。


他にも、
可愛い大福「ささ姫」や「桧原そばがきじるこ」なども人気だ。







岩佐さんが使うのは地元のそば粉だけ。

そんな様子を見て、
休耕地のそば畑をよみがえらせたいとして、
近所の人たちが組合を作った。

　「本物のそばをつくったおかげで
出会いが広がった」と
岩佐さんは言う。

岩佐さんの人生の終着駅は、
まだまだ先にあるようだ。






http://www.asahi.com/articles/DA3S11163002.html
http://digital.asahi.com/articles/DA3S11175507.html


http://www.eifl.co.jp/sobagoya/


●蕎麦古家

　
〒966-0501　福島県耶麻郡北塩原村桧原字道前原1131-126

　　　　　　　
電話 [phone]　　携帯 080-5455-8473
　　
メールアドレス[e-mail]




　　　by 食いしん坊主・たりらんらん

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